〜「油断すると」シリーズ〜
part5


私の勤める会社の従業員数、実に350人。

これくらい社員数があると、毎日のように誰かしらの

お祝い・お悔やみ

が発生してきます。

実際、関係会社・取引業者等の冠婚葬祭もあるので「毎日のように」というのは決して大袈裟な表現ではありません。

当然、会社として祝電(お祝い電報)や弔電(お悔やみ電報)を出すことになる訳ですが、それは我々総務課の仕事。

出したことのある人ならばお分かりかと思いますが、電報センターというのは完全にマニュアル化されており、どのオペレーターが出ても質問する事、聞く順番が全く同じです。

先走ってこちらが勝手に話しを進めて行くと、チョット困ったりして面白い時もあるのですが、今回はその話しではありません。

オペレーターさんは、誤った受取人名や差出人名で届けるわけにはいかないので、住所や人の名前は必ずマニュアル通りに「どういう字を書きますか?」と聞いてきます。

地名・人の名前は当て字があったりするので、質問してくるのは当然と言えば当然ですね。

従って、名前の漢字を分解して説明してあげるという作業が発生してきます。

例えば「山田 一郎」さんであれば、

「山・川のヤマ、田んぼのタ、漢数字のイチ、新郎のロウ」

等と告げるのが一般的でしょう。

「佐藤 誠」さんならば、

「人偏にヒダリ、草冠のフジ、言偏に成る(または誠実のセイ ひと文字)」

が模範でしょうか。

電話ですので、「え〜っと、こう書いて…ナナメにこう、こう!等と指で宙に書いたって相手に見える訳がありません。

初心者の方は、突然聞かれても慌てずに済むように前もって考えて置いた方が良いでしょう。

さて、こんな偉そうな能書きをタレている私ですが、数をこなしていたってやるときゃやっちゃうんです。

先日、いつものように電報を依頼された私。

どういう順番で何を尋ねられるかまで把握しているので、無駄のないスムーズな会話が展開される。

当然です。

いったい何人に祝電・弔電を出していると思っているのですか。

「それでは電報をお受け取りになる方のお名前をお願い致します。」

「釜谷 ○○さんです。」

「はい。それではカマタニ様のお名前はどの様な字を書きますか?」

「まずカマは鍋・釜のナベ、タニは……」(意味不明!!!

「は?」

「………は?

「…………?」

臆面もない私はオペレーターが何に戸惑っているのかが分からず、オペレーターは私が何をトチ狂って電波を発しているのかが分からない状態でしばし沈黙が流れておりました。

その後、自分から気付いた時の恥ずかしさときたら、とても表現できるものではありません。

驕っている時にかく恥は格別のモノであるという事を読者諸君にも知っておいて頂きたい。  


2002.3.14


「慣れている」=「べテラン」ではない。